「味方」が「敵」に火をつける。

 WEBは相互作用だ。

 AさんとBさんの間に対立があるとする。
 Aさんの友人が、Aさんに味方したくて、相手であるBさんを批判するコメントをいれたとする。しかしそのことによって、Bさんの側に賛同する者は、静かに見守るのをやめて、Aさんを批判するコメントを入れたくなるかもしれない。

 Aさんの味方が、十分に周辺事情を理解し適切なコメントをいれていたのであれば、問題は少ないだろう。だが、知らないこともあるにもかかわらず、感情のままに「援護」のつもりでコメントをしていたら、どうだろう。

 Bさんの友人はもっと事情を知っていたらどうだろう。情報が多い分だけ、Aさんにとってはイタイ「援護」が可能かもしれない。

 WEBは相互作用だ。

 「失礼を承知」なコメントが片側に寄れば、もう片側も「失礼を承知」なコメントをいれやすくなるものではないだろうか。「味方」をし、力づけるつもりが、「敵方」を怒らせ、事態の混迷を深めることもある。

 私は自分のエディターの上に、いらだちをこめたコメントを何本も書き、最後にそれを全部消去してこの文章を書いた。
──今宵、あなたの夢が安らかなものでありますように。
 私は片側に味方する者として、一歩しりぞいてここで祈る。